灼熱
夏は暑い。当たり前の事を言ってもどうしようもないけれど、
暑いとは言わずにいられない暑さだ。こんなにも暑いのに私の彼氏の
菊丸英二はハツラツとしている。どんなに暑くてもコンビニでアイスを買ったり
ジュースを買ったりして凌いでいる。今は私の部屋でお昼寝中だ。クーラーの効いた部屋で。
同じ部屋に彼女がいるのに寝るか、普通。大の字になって寝てやがるから布団にも
潜り込めない。机に突っ伏して無意味に「暑いー。」とか言ってみる。別に暑くないけど。
同じ部屋に二人っきりなのに何もしないなんて、私の性別を何だと思ってやがんだ、
覚えてろよこの野郎とか思う。仮にも自分の彼氏に思う事じゃないけど、声に出した
訳じゃないからOKにする。せっかくだから宿題をする。英二が「教えて。」とか言うから
来たのに、この有様だ。これで起きた時に「写させろ。」とか言ったらパンチだ。
宿題を終える。暇で暇でしょうがないので、嫌がらせに英二を起こす。
「起きろー、英二ー!」
起きない。英二の寝顔を見てたらこっちまで眠くなってきた。また机に突っ伏して
寝る態勢に入る。あっという間に眠りに落ちる。
「おーい、起きろー。」
何か英二に呼ばれてる気がする。微妙に意識はあるけれど、体が目覚めるのを
拒否している。
「しょーがないにゃあ。」
突っ伏してるのを引っくり返されて持ち上げられた。気持ち良いから狸寝入りをかます。
ベッドに寝かされ、隣に英二が潜り込んでくる。何となく、英二の方を向く。もちろん、
狸寝入りをしながら。寝てるのかと思ってそっと目を開ける。
「あ、やっぱり起きてた。」
普通に英二と目が会う。
「なっ、起きてたの?」
「うん。何となく起きてる気がして。黙って見てた。」
いつから起きてたんだろう。別に英二が寝てる間に変な行動は取ってないよな、
とか思いながらボーっと遠くの方を見る。
「あ、英二、宿題やらないの?」
「うーん、後でやる。」
英二がへへへと笑いながら横になったまま抱きしめてくる。部屋は寒いくらいだけど、
英二とくっついているから暖かい。またうとうとしてきた。
「また寝るの?」
「うーん…多分。宿題やるなら分からなくなったら起こして。」
「せっかく起きたんだから絶対に寝かせないかんな。」
いきなり睡眠妨害宣言をされた。もう完全に私は寝る態勢だ。英二に背を向ける。と、
後ろから胸を触られる。服の上からふにふにと揉まれる。…って、犯される?!
「ちょっ、英二ダメっ!」
英二は無視してスルリと服の中に手を入れる。辛うじてブラの中には手は入ってない。
じたばたと暴れてみる。英二も男の子なのであっという間に押さえつけられる。
「分かった、起きる、起きるから!」
「俺の勝ち♪」
何かムカツクな。が、負けたのは事実なので素直に起き上がる。
「さて、宿題しようか。理解するまで教えてあげるよ♪」
悔しいので復讐する事にする。勉強は得意なので、教科書を指差してニッコリ微笑む。
「え゛、マジ?」
「マジ。」
この日、宿題が終わらなかったのは言うまでも無い。
おまけ。
「あーもう!何回言えば分かるの?英二、頭悪すぎ。」
「分からないのもは仕方ないだろー!いっそ写させて。」
私はニヤリと笑うと英二にパンチをした。
後書き。
短編にも後書きを付ける事にしてみた。裏にしようか本気で迷った。結局表。
うーん…気が向いたら裏バージョンも書いてみようかな?タイトルはぷよぷよ。
『灼熱のファイヤーダンス♪』ってCM。ゆ、夢がねえ!!